90年代を懐古するブログ

90年代オタク文化を中心に懐古。80、00年代も場合によって。

冨樫義博「レベルE」を読んだからオタクになれなかった説

1992年に中学入る世代ってジャンプてんで性悪キューピッドで「なんてかわいくてエッチな絵なんだ」ってなったじゃないですか特にまりあが金持ちに捕まって服をメスで切られる回で。

 

さておき、冨樫氏の作品の面白さは他に類を見ないのは言うまでもなく、そこから幽遊白書で一気に、特に最終2巻でやたら高次元に到達するわけですよね。

 

そしてハンターハンター...ではなくその前にレベルEがあって。それをリアルタイムで体験したじゃないですか我々は。

 

レベルEは冨樫作品の結晶というか、きっとこの人が描きたい要素が全部詰まってるんだろうなみたいなものに思えるくらいの濃さと、週刊連載では不可能なきちんとした構成と書き込みと終わり方で。

 

作品の節々から色んな知見に裏付けされてる事が匂ってくる。様々な大量な文献を消化した上で描いているのが透けてみえる。単ジャンルのオタクじゃなくて、複数多岐に渡って独自のセンスで深い所から掬ってきた要素を元に筆を走らせているのが未成年だった私たちでも容易に理解できたわけですよね。

 

そういうある種の探求心と好奇心を偏執的に、ある種残酷にロマンティックにミステリアスに深く広く収集していく高レベルのオタクっぷりを見せつけられてはですね、80年代からのSFロボットアニメに耕した業界から派生したエロに特化した生ぬるいオタク世界というのはだいぶ浅く薄く見えてしまったのですよね、とんでもなく乱暴な言い方ですが。

マンガ紹介「レベルE」冨樫義博 究極ストーリー集 評価・感想 | マンガはベタとベタでできている

私自身の趣味嗜好からくる見方に過ぎないのですが、そういうわけで私はもうちょっとサブカル寄りの世界に足を踏み入れた次第で(但し、現時点では秋葉的オタク趣味世界に対して上記の様には思っておらず、むしろもっと柔軟に飛び込んでいけば良かったと思っている次第です)。

 

冨樫氏に限らず、そもそも週刊連載で描けるものとそうじゃない形態で描けるものって違うし、作家性という特性が合致する方で作品発表する方が光り方が変わるはずなのに花形というか食っていくためにはみたいな話が絡んでいるのは勿体ないというか、何かしらのインセンティブというか補償或いは補填によって週刊連載以外の作家さんが伸び伸びと作品づくりできる環境が整えばなんて夢の様な希望を抱いてしまうくらいレベルEみたいな作品をもっと読みたいなと思いつつあまり出会えていない現状であり、いたしかたがない次第。

 

そういう意味では私は短編が好きなのだと思います。短編集とか結構マイナーな作家でも手に取る機会多いし...

 

話が逸れましたが、ともかくレベルEはこれまで読んできた面白かった漫画トップ10に入るのですが、今の若い人が読んでもそんなに面白くなかったりするんでしょうかね。ていうか同世代でも趣味嗜好が違う人からしたら別にそんなにって感じなんでしょうか...

 

ちなみに好きなシーンは王子の護衛の長髪の人が「王子がどこかで聞いているかもしれないから」という事でパソコンに「協力するからいつでも連絡してくれ」みたいに打ちつつ口では別の事を言うシーンです。